理由は、もちろんそれはCW-L02のほうが好きだったため、に尽きる。
では、そんな”優良”で”優秀”な3機種を手放してまでCW-L02のどんなところが好きなのか、書こうと思う。事前のことわりとして、それら3機種が嫌いになったわけではないことだけ述べておく。
CW-L02は、フルレンジ1BAの機種である。
一方で、MH334SRは4BA、MH335DW EXは5BA、MH335DWSRも5BAである。
BA数が増えることに対するわたしの印象は、少なくとも上記4機種のみを踏まえて言えば、音の厚みが変わる、ということである。
音の厚みが変わると、各帯域でより芯のある音が出るようになると思う。それは実在感や臨場感といったものにつながっていると思う。これは、一般的に良い点であるように思う。反対に、CW-L02のようにフルレンジ1BAでは厚みに欠ける傾向にあることを意味している。
しかし、フルレンジ1BA、少なくともL02は、さっぱりさがあるのである。まさにこれがわたしが気に入っているポイントである。
音に厚みがある、ということは、誤解を恐れずに言ってしまえば、密度が高くごちゃごちゃする、ということである。
悪く言えば、1つのドライバーが全域を鳴らしているからこその不足感や限界は感じられるものの、1BAだからこそのさっぱり感はやはり多BAにはない。このさっぱり感というものは、すっきりしているという印象であり、清涼感、という言葉に置き換わる。一聴してわかりやすく高音質を感じられるし、疲れない。
CW-L02はすっきりしているだけでなく、くっきりはっきりと鳴って音像がぼやけない。加えて、CW-L02は、音色が中庸寄りの明るめなのもあって、金管楽器や弦楽器の表現は特筆に値する。
さっぱりすっきりと形容するこの清涼感は、1BAに固有のものであると信じてやまない。
CW-L02のほか、例えばWestone Audio UM Pro10に対しても似たような印象を覚えている(これも名機だと思う)。
ただし、シングルBAのすべてがこうであるとは思っていない。
メーカーによるサウンドチューニングもあるだろうと思う。
時として不安定で、1BAがゆえのドライバーの鳴りの限界やかすれや刺さりもある。
また、拾える音の数が多くなく、1音1音の濃さもそれほどは感じられない。
だからこそさっぱりあっさりしていて、にもかかわらず音像は通っている。
STAX SR-009、それに通ずる部分があるように感じられるからこそ好き、という部分もあるかもしれない。もっともSR-009の拾える情報量が多いという点は大きく異なる。にもかかわらずあっさりさっぱりで清涼感があるというのは、SR-009の実力だろう。
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